小児歯科学雑誌
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永久歯の萌出遅延を契機に鎖骨頭蓋異骨症と診断された二卵性双生児の姉妹例
番匠谷 綾子海原 康孝中江 寿美鈴木 淳司香西 克之
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2007 年 45 巻 1 号 p. 109-117

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抄録

鎖骨頭蓋異骨症は,鎖骨の低形成もしくは欠損,頭蓋骨骨化障害,歯の形成異常,低身長などを特徴とする常染色体優性遺伝の骨系統疾患である.
今回著者らは,永久歯の萌出遅延を主訴に当科を受診し,それが契機となって鎖骨頭蓋異骨症と診断された10歳10か月の二卵性双生児姉妹を経験した.諸検査により次のような姉妹に相似した所見を得た.
1.鎖骨に両側性の部分欠損を認めた.
2.GH補充療法を行っているにも関わらず低身長を認めた.
3.頭蓋骨に大泉門の閉鎖不全,wormian boneが存在した.
4.多数の乳歯が存在し,残存乳歯の歯根吸収もほとんど認められなかった.
5.永久歯は姉に6歯,妹に7歯のみの萌出を認め,その他の埋伏永久歯の萌出もかなり遅れていた.
6.埋伏過剰歯は,姉には上顎3歯,下顎6歯の計9歯,妹には上顎3歯,下顎5歯の計8歯を認めた.
7.下顎の過成長と下顎骨の前方位による著しい反対咬合を呈していた.
8.歯列弓は上下顎ともに著しく狭窄していた.
9.高口蓋で正中口蓋縫合に沿う裂溝を認めた.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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