2007 年 45 巻 3 号 p. 393-398
近年,小児の齲蝕は減少傾向にある.しかしながら,障害児においては未だに一般小児より齲蝕は多い傾向にある.これには障害児特有の口腔衛生の問題が関係していると思われる.そこで障害児にとって有用な口腔衛生指導を行っていくために,平成11年から平成17年までの7年間に東京都S区の就学前の障害児施設に通園していた障害児151名に行った口腔内診査結果と保護者を対象に行ったアンケートを集計,分析した.その結果,
1.問食は規則的に与えている者が多かったが,飲み物は自由に与えている者が多く,間食や飲み物の与え方は齲蝕との関係が高かった.
2.間食の内容は齲蝕との関係が低かったが,飲み物の内容は齲蝕との関係が高かった.
3.歯磨き習慣と齲蝕の有無とはやや関連が認められたが,刷掃者,刷掃回数および時間帯と齲蝕の関係はあまり認められなかった.
以上の結果から,保護者に対して間食と飲み物の与え方について,さらなる情報提供を行うとともに,障害に対応した口腔清掃方法についての指導が必要であると考えられた.