小児歯科学雑誌
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45 巻 , 3 号
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  • 曽根 由美子, 弘中 祥司, 嘉ノ海 龍三, 向井 美恵
    2007 年 45 巻 3 号 p. 377-383
    発行日: 2007/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    摂食・嚥下機能に関して重要な役割を果たす喉頭蓋について,歯顎顔面用コーンビームエックス線CTを用いて喉頭蓋の3次元的な断面形状を観察することにより顎・口腔領域の成長期にあたる混合歯列期から永久歯列完成期における喉頭蓋の形態的特徴および成長変化について検討を行った.
    HellmannのDental Age IIC~IVA期に相当する100名を対象とし,安静時の喉頭蓋が咽頭壁に接することなく喉頭蓋谷の入り口の開いているものに限定した.喉頭蓋の水平断面において,幅径,深さ,厚み,矢状断面において,長径の4項目を計測した.
    結果,幅径,長径は歯の交換期から永久歯列完成期にかけての時期に有意に増加がみられた.深さは有意な変化はみられず,厚みはIIC期とIVA期の間に有意差がみられた.つまり小児期の喉頭蓋は,幅径と長径は歯牙年齢の発達にともない有意に増大し,深さには変化が見られず,厚みはIIC期とIVA期の間で増大していることが明らかになった.以上より安全装置としての喉頭蓋は深さの増大は今回の対象より低年齢のうちに起こることが推測される.つまり,幅径,長径より早期に増大していると推測された.
  • 梶井 友佳, 田口 洋, 野田 忠
    2007 年 45 巻 3 号 p. 384-392
    発行日: 2007/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    今回著者らは,新潟大学医歯学総合病院小児歯科外来を受診した患者の開院以来25年間の変遷を知る目的で1980年,1988年,1996年,2004年の初診患者について診療録,問診表などによる調査を行い,以下の結論を得た.
    1.初診患者数は年々減少し,その減少傾向は新潟県内の出生数の変化と類似していた.
    2.齲蝕を主訴に来院する割合が減少し,咬合の異常,歯の異常,健診を希望して来院する割合が増加していた.
    3.他機関からの紹介率が上昇し,1996年,2004年には1980年の2倍以上となった.
    4.乳歯処置歯数は1996年にいったん増加したが,1980年と比較すると減少していた.乳歯処置内容は歯内療法処置や抜歯が減少し,修復処置が増加していた.
    5.永久歯処置歯数は2004年に増加したが,処置内容は,シーラントが大幅に増加し,シーラントと修復処置の占める割合が高かった.
    6.定期健診などで5年以上通院した患者の割合を比較すると,すべての年齢層で増加していた.
  • 近藤 智子, 杉山 智美, 浅里 仁, 井上 美津子
    2007 年 45 巻 3 号 p. 393-398
    発行日: 2007/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    近年,小児の齲蝕は減少傾向にある.しかしながら,障害児においては未だに一般小児より齲蝕は多い傾向にある.これには障害児特有の口腔衛生の問題が関係していると思われる.そこで障害児にとって有用な口腔衛生指導を行っていくために,平成11年から平成17年までの7年間に東京都S区の就学前の障害児施設に通園していた障害児151名に行った口腔内診査結果と保護者を対象に行ったアンケートを集計,分析した.その結果,
    1.問食は規則的に与えている者が多かったが,飲み物は自由に与えている者が多く,間食や飲み物の与え方は齲蝕との関係が高かった.
    2.間食の内容は齲蝕との関係が低かったが,飲み物の内容は齲蝕との関係が高かった.
    3.歯磨き習慣と齲蝕の有無とはやや関連が認められたが,刷掃者,刷掃回数および時間帯と齲蝕の関係はあまり認められなかった.
    以上の結果から,保護者に対して間食と飲み物の与え方について,さらなる情報提供を行うとともに,障害に対応した口腔清掃方法についての指導が必要であると考えられた.
  • 松根 健介, 三好 克実, 井上 雄温, 松原 清, 原 昌伸, 韓 娟, 梶山 紫, 宮本 桃江, 大橋 博文, 前田 隆秀
    2007 年 45 巻 3 号 p. 399-404
    発行日: 2007/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    Beckwith-Wiedemann症候群は,巨舌を伴う症候群であり,必要に応じ舌縮小術が施術されている.施術後に味覚の減退が起こる可能性が報告されているが,実際の嗜好の変化は報告されていない.そこで,食生活アンケートを行い18人の回答を得た.重回帰分析の説明変数を,性別,年齢手術既往歴,および術後年数の4つとし,ステップワイズ法を用いて有意差の認められた項目を抽出し,検討を行った.その結果,舌縮小術を行った患児は,「果物が好き」,「麺類が好き」,「母に好き嫌いがある」,「食事量」,「ケチャップの味付けが好き」,「濃い味が好き」,「肉は焼き物が好き」,「偏食がある」,「麺類を自由に食べたい」の9項目に影響を受ける傾向を認めた.特に濃い味付けを好む傾向を認めた.しかしながら,舌縮小術を行うと咀嚼嚥下の回復により麺類が嗜好品になる傾向や好きな味付けの種類が増える傾向も認められた.
  • 松本 弘紀, 角田 初恵, 夏堀 裕之, 原田 利佳子, 田中 光郎
    2007 年 45 巻 3 号 p. 405-411
    発行日: 2007/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    少子化と齲蝕罹患者率の減少という社会状況において当小児歯科に求められている役割の現状を把握し,的確に対応する方策を検討するために,平成13年4月から平成17年年3月までの5年間に本学小児歯科外来を受診した全初診患児の初診時の問診表およびカルテをもとに実態調査を行い,以下の結果を得た.
    1.初診患児数は3歳から7歳が多かった.これは,歯科疾患実態調査の結果に比べて,一人平均齲蝕歯数が多い年齢層であり,また齲蝕を主訴として来院する比率も高かったことから,治療に対する協力性が乏しく,治療が困難であるために当科を受診した患児が多かったためと推測された.
    2.患児の居住地は盛岡市内と近郊で62.6%を占めていたが,その他の地域から来院する患児では50.8%と紹介率が高く,当科の北東北地区における二次・三次医療機関としての役割を示唆していた.
    3.当科への紹介患者は全初診患者の38.7%であり,平成13年度から平成17年度にかけて,21.6%増加した.開業医からの紹介と医学部からの紹介に増加傾向が認められ,この結果も当科の二次・三次医療機関としての位置づけが示されていた.
    4.初診時の主訴は齲蝕処置が40.6%で最も多く,次いで歯列咬合18.4%,診査希望13.0%,外傷10.6%の順であった.これは大学病院小児歯科にはいまも低年齢児や非協力児に対しての齲蝕処置が患者からも開業歯科医師からも求められているためと考えられた.
    5.年齢別一人平均齲蝕歯数(乳歯)は,平成17年歯科疾患実態調と比較して,殆どの年齢において実態調査の一人平均齲蝕歯数を上回っており,5歳以下ではその傾向がさらに明確に認められた.年齢別一人平均齲蝕歯数(永久歯)は,平成17年歯科疾患実態調査と比較して,10歳以上の年齢において実態調査の一人平均齲蝕歯数を上回っていた.また未処置歯分類(乳歯)ではC2,C3を持つ者の割合が多かった.
  • 佐藤 恭子, 星野 倫範, 藤原 卓
    2007 年 45 巻 3 号 p. 412-418
    発行日: 2007/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    哺乳を長期間行なっている乳幼児の上顎前歯唇・口蓋面には重症の齲蝕(哺乳齲蝕)が発症することがある.母乳と人工乳には7%のラクトース(乳糖)が含まれており,これまでこのラクトースが哺乳齲蝕の原因であると考えられてきた.この哺乳齲蝕は,小児歯科では古くから大きな問題となつているが,その齲蝕発生メカニズムは十分に解明されていない.哺乳齲蝕におけるミュータンスレンサ球菌の病原性を検討するために,酸産生という観点から,グルカンバイオフィルムモデルでのラクトースからの酸産生について検証した.
    浮遊状態の酸産生能測定系で,ミュータンスレンサ球菌はラクトースを代謝し,母乳に含まれるラクトースが酸産生の基質となることが明らかになつた.しかし,グルカンバイオフィルムでのミュータンスレンサ球菌は,ラクトースからはほとんど酸産生を行なわなかった.さらに,口腔内の再現モデルとして,グルカンバイオフィルムに,ラクトース液に低濃度のスクロースを添加した場合でも,酸産生はほとんど認められなかった.また,S.mutansでは,ラクトースと低濃度のスクロース存在下ではむしろ酸産生が抑制されており,S.mutansS.sobrinusでは,糖の代謝が若干異なる可能性が示唆された.
  • 奥 猛志, 井形 紀子, 重田 浩樹, 山崎 要一
    2007 年 45 巻 3 号 p. 419-423
    発行日: 2007/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    安静時唾液pH,カリオスタット®,唾液緩衝能,飲食の回数,年齢,フッ化物の使用状況の6項目から,擬似的に個人のステファンカーブならびに臨界pHを作成し,脱灰・再石灰化時間の割合を算出する齲蝕予防管理ソフトを開発した.当院を受診した患者の中で234名(男児115名,女児119名),平均年齢6歳2か月(3歳~14歳)を対象に,本ソフトを用い,脱灰・再石灰化時間の割合を算出し,以下の結果を得た.
    1.現在齲歯数と脱灰時間の割合とでは相関関係が認められなかったが,現在齲歯数が多くなるほど脱灰時間の割合は大きくなった.
    2.DMF(dmf)歯数と脱灰時間の割合とでは相関関係が認められ(p<0.01),DMF(dmf)歯数が大きくなるほど脱灰時間の割合は大きくなっていた.
    これらの結果から,齲蝕予防管理ソフトにより算出された脱灰時間の割合は齲蝕の罹患経験を反映できるものと考えられた.
  • 杉山 智美, 神谷 太郎, 板垣 優美, 小林 聡美, 浅里 仁, 板橋 家頭夫, 井上 美津子
    2007 年 45 巻 3 号 p. 424-429
    発行日: 2007/06/25
    公開日: 2013/01/18
    ジャーナル フリー
    近年小児のアレルギー患者が増加しているが,アレルギー発現に対する予測や対応法などが確立していないのが現状である.今回,アレルギーを有する患児における,歯科薬剤・材料に対して,アレルギー検査を行った3症例を報告する.
    症例1 1歳7か月男児.抗菌薬および食物に対するアレルギーの既往がある.齲蝕および外傷にて抜歯を行った後に床型保隙装置作製のため,局所麻酔剤の皮内テスト,充填材料,床用レジン材料,歯科用金属についてのパッチテストを行った.その結果,修復用コンポジットレジンおよび一部の局所麻酔剤に陽性反応が認められた.
    症例2 5歳10か月女児.近医にて修復用コンポジットレジンに対するアレルギーを指摘された.充填材料,床用レジン材料,歯科用金属についてパッチテストを行った結果,修復用レジンおよび一部の金属に陽性反応が認められた.
    症例3 2歳6か月女児.食物のアレルギーがあり,局所麻酔剤の皮内テスト,充填材料,歯科用金属,フッ化物についてパッチテストを行った結果,修復用レジン,一部の局所麻酔剤,フッ化物にアレルギー反応が認められた.
    以上の症例は,アレルギーの既往のある患児に対しては,重篤なアレルギー反応が起こることを避けるためにも,患児および家族に対して十分な医療面接を行い,小児科など諸機関との連携を密にとり,早期に適切な対応を行うことが重要であることを示している.
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