抄録
安静時唾液pH,カリオスタット®,唾液緩衝能,飲食の回数,年齢,フッ化物の使用状況の6項目から,擬似的に個人のステファンカーブならびに臨界pHを作成し,脱灰・再石灰化時間の割合を算出する齲蝕予防管理ソフトを開発した.当院を受診した患者の中で234名(男児115名,女児119名),平均年齢6歳2か月(3歳~14歳)を対象に,本ソフトを用い,脱灰・再石灰化時間の割合を算出し,以下の結果を得た.
1.現在齲歯数と脱灰時間の割合とでは相関関係が認められなかったが,現在齲歯数が多くなるほど脱灰時間の割合は大きくなった.
2.DMF(dmf)歯数と脱灰時間の割合とでは相関関係が認められ(p<0.01),DMF(dmf)歯数が大きくなるほど脱灰時間の割合は大きくなっていた.
これらの結果から,齲蝕予防管理ソフトにより算出された脱灰時間の割合は齲蝕の罹患経験を反映できるものと考えられた.