小児歯科学雑誌
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歯の外傷およびマウスガードに関するアンケート調査
サッカースクールの指導者と保護者との比較
杉林 篤徳木下 承子田口 洋野田 忠
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2007 年 45 巻 4 号 p. 451-457

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抄録
サッカーは,野球とバスケットに次いで顎口腔領域の受傷件数が多い。本研究では,歯の外傷やマウスガードへの一般の認知度と関心度を把握する目的で,サッカーチームに所属する小児の保護者86名と指導者19名を対象に,1)歯の外傷についての一般的事項,2)完全脱臼歯の再植に関する事項,3)マウスガードに関する事項についてアンケート調査を行った。その結果,保護者と指導者の間に,歯の外傷に関する認知度と関心度には違いが認められず,歯の再植に関連する項目では,指導者の方が認知度は低い傾向にあった。歯の外傷に関するアドバイスを受けたことがあったのは,保護者で9.3%,指導者ではいなかった。
一方,歯の外傷についての講習会参加希望者は保護者で65.1%,指導者で84.2%であった。脱落歯が再植可能であることを保護者の74.4%と指導者の85.2%が,脱落歯の牛乳保存については保護者の75.6%と指導者の94.7%が知らなかった。今後小児のマウスガード使用を考えた保護者は35.7%,指導者は41.2%と半数以下であった。以上の結果から,特に指導者に対して,講習会への参加希望が多いことを利用して,脱落歯が再植可能であること,脱落歯の牛乳保存,そしてマウスガードの利用等について,科学的根拠に基づき啓蒙する必要のあることが示唆された。
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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