2007 年 45 巻 5 号 p. 603-610
本研究は,Nd:YAGレーザー照射後のビッカース硬度,耐酸性能の変化,エックス線回折による歯質の結晶学的変化について検討した結果,以下の知見を得た。
1.Nd:YAGレーザー照射後のエナメル質は,照射出力100mJでビッカース硬度の有意な上昇が認められた。
2.象牙質への照射においてもエナメル質と同様に照射出力100mJでビッカース硬度の有意な上昇が認められた。
3.耐酸性試験の結果,QLF測定値のΔF(平均脱灰深さ)は,レーザー非照射群(コントロール)-9.68±1.90に対して,レーザー照射群は-7.75±1.31を示し,両群間に有意差が認められた。
4.レーザー照射後のエナメル質表面のSEM像は,滑らかな表面像と無数の不規則なマイクロクラックおよび大小多数のマイクロホールが観察された。
5.エックス線回折の結果,レーザー照射後のエナメル質の一部がβ-TCPに熱分解・生成している事が明らかとなった。