抄録
小児歯科臨床において定期健診の持つ役割は大きい。定期健診の効果を上げ,受診率を高めていくためにも,保護者や小児の定期健診に対する意識や期待を把握しておくことは重要である。これらを把握する目的で,2004年7月からの2か月間に,東京歯科大学水道橋病院小児歯科へ定期健診のため来院した小児の保護者を対象に定期健診に関する意識調査を行った。本調査の目的を説明し,同意を得られた323名を対象に調査を行い,以下の結論を得た。
1.回答者が適切と考える定期健診の間隔は,4か月が最も多かった。また,回答した間隔での通院は大多数が負担には感じないと回答していた。
2.定期健診に期待することは,「齲蝕予防」が95.4%と最も多く,次いで「歯並び」「歯ブラシの上達」の順であった。また,その期待に応えられているかに対しては,「十分に期待通り」,「まあ期待通り」を合わせて90%以上を占めていた。
3.「定期健診にいつまで通うべきか」は,「大人になっても通うべき」が最も多く,次いで「中学卒業まで」であった。特に定期健診来院小児が減少する10歳以降の小児の歯列の成長や齲蝕予防について,保護者および小児の理解を深めさせていく必要性があると思われた。