小児歯科学雑誌
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精神身体的状態が顎顔面部における圧痛閾値測定結果に及ぼす影響について
石谷 徳人吉原 俊博舛元 康浩齋藤 一誠稲田 絵美山崎 要一
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2008 年 46 巻 1 号 p. 19-25

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抄録

顎関節症などの口腔顔面痛を有する患者への重要な検査項目に,顎顔面領域の筋の触診がある。しかしながら,筋の触診の再現性には多くの技術的な問題があるだけでなく,患者個人の精神身体的状態の影響も少なからず関与しているものと思われる。そこで今回著者らは,健常成人20名に対し,精神身体的状態を2種類の心理テスト(State-Trait Anxiety Inventory,以下STAIおよびProfile of Mood States,以下POMS)により評価した。さらに圧痛計を用いて,茎状突起部に対する圧痛閾値測定を行い,精神身体的状態が顎顔面部における圧痛閾値測定結果に及ぼす影響について調査した。各被験者から得られた心理テストの各因子の得点と圧痛閾値の変動係数との相関を検討したところ,茎状突起部における圧痛閾値の変動係数とSTAI,POMSの否定的感情に関連した5つ因子の得点との問に有意な正の相関が見られた。本研究結果から,口腔顔面痛を有する患者は精神身体的状態により,筋の触診などの検査結果に影響を生じ,誤った検査結果を導き出してしまう可能性があることが示唆された。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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