小児歯科学雑誌
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マウス上顎第一臼歯の前後的位置を規定する遺伝要因の検討
天井 砂波里清水 武彦
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2008 年 46 巻 3 号 p. 330-335

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抄録

SMXAリコンビナント近交系(RI)マウスを用い,上顎第一臼歯の顎骨に対する前後的位置を規定している遺伝子の探索を,量的形質遺伝解析(QTL解析)法にて行った。23系統のSMXA RIマウスの骨格標本を作製し,上顎骨の切歯孔前縁と蝶形骨基底部後縁の距離に対する切歯孔前縁から上顎第一臼歯近心歯頸部までの距離の割合(以下:上顎第一臼歯の上顎骨前方からの割合)を求めた。この割合は23系統内で0.350~0.389の範囲にあり,すべての系統において同一系統内での変動係数が極めて小さかったことから,上顎第一臼歯の前後的位置は遺伝要因により強く支配されていることが示唆された。また,23系統の上顎第一臼歯の上顎骨前方からの割合は最小値と最大値の範囲内で分布に偏りがない連続的な値を示したため,量的形質値とした。QTL解析ソフトMap Manager QTXbを用いて,過去に報告されているStrain Distribution Pattemと量的形質値とを指標とし,全染色体を対象にQTL解析を行った。その結果,第18番染色体の遠位に位置するマーカーD18Mit7でLODスコアが雄雌ともに有意な値を示した。この結果から,上顎第一臼歯の前後的位置を規定する遺伝子が第18番染色体の遠位に存在する可能性が示唆された。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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