小児歯科学雑誌
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大学歯科病院小児歯科における紹介患者の実態調査
堀川 康弘河田 正江冨永 真澄坂下 かやの龍珠 美子板垣 優美浅里 仁井上 美津子
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2008 年 46 巻 3 号 p. 354-359

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抄録
少子化や小児齲蝕の減少,さらには歯科医院の増加により,地域の中核病院である大学病院へ紹介される患者の特徴も変わってきていることが予測される。そこで著者らは,地域歯科医院と大学病院との医療連携のあり方を熟慮することを目的に,当科への紹介患者の実態について調査・検討を行った。対象は,2003年から2006年までの4年間に,本学小児歯科を受診した初診患児のうち,診療情報提供書あるいは紹介状を持参した620名とした。その結果1.紹介患者数は年々増加傾向を示し,紹介年齢の多くは3歳から4歳代で,8歳までが紹介の大半を占めていた。2.紹介理由は3歳代までは齲蝕・外傷が多く,6歳代以上でも齲蝕が半数を占めていたが,年齢の増加に伴い萌出・咬合に関する相談が増加し,外傷は減少していた。3.紹介元の9割が一般開業歯科医院を占め,開業歯科医院の6割が近接地域に所在していた。4.紹介された症例は,低年齢でコミュニケーションのとりにくい小児の齲蝕治療や,外傷・外科処置といった専門的な知識・技術が必要なものが多かった。今後は,紹介元との治療後管理や特殊症例の対応について協議することで,病診連携の向上を図る必要性が示唆された。
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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