抄録
ブラキシズムは,歯の咬耗を引き起こすのみでなく,歯周疾患や顎顔面痛,顎関節症などのリスクファクターの1つであることが知られている。それは発生する時間帯により,覚醒時及び睡眠時ブラキシズムの2つに大別される。覚醒時のブラキシズムの原因においては不明な点が多いものの,近年の生理学的手法を応用した検索により睡眠時のブラキシズムにおいては,微小覚醒に引き続く咀嚼様の顎運動(Rhythmicmasticatory muscle activity:RMMA)より生ずると考えられるようになってきた。
一方で,小児期のブラキシズムに関する報告は非常に少なく,その生理的な役割や加齢による変化についての詳細はいまだ明らかでない。
今回,下顎乳前歯の動揺と同部の出血を主訴に来院した,1歳7か月女児への歯科的対応を通して,睡眠時のブラキシズムがその原因であると考えられた症例に遭遇したので,治療経過も含めその概要を報告した。