2005 年 71 巻 8 号 p. 1041-1045
手動車いすの分野でも, シーティングポジションや駆動力について従来の人間工学的な評価から, バイオメカニクス的な評価が可能となってきた. これまで, 複雑で冗長であるとされてきた四肢の筋群を, 各関節に独立に作用する2対の拮抗一関節筋と, 両関節に同時に作用する1対の拮抗二関節筋の3対6筋の機能別実効筋に分類し, 機能別実効筋力と出力の関係が明確にされた. ここでは, これまで提案されてきた手法を用いた手動車いすの駆動力の解析が, 手動車いすとヒトの最適な位置関係 (シーティングポジション) を見出す一手法となり得ることを明らかするために, 出力分布から車いす駆動時の駆動力と最適なシーティングポジションを推定した. その結果, 本手法により手動車いすのシーティングポジションと駆動力の評価が十分に可能であることが明らかとなった.