日本体育学会大会予稿集
Online ISSN : 2424-1946
ISSN-L : 2424-1946
第67回(2016)
会議情報

一般研究発表(03) 体育心理学
03心−24−ポ−08 Rod-and-frame effectが投動作に影響を及ぼす可能性
標的周辺を取り囲む正方形の傾きはダーツ投動作に影響を及ぼす
*白木 善英山本 真史小高 泰久代 恵介
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 120_1

詳細
抄録

 視野内に存在する正方形を視軸周りに傾けるに従い重力方向が傾いて知覚される現象は“Rod-and-frame effect”として知られている。本研究では、正方形の傾きが投動作のパフォーマンスに影響を及ぼすか否かを検証した。一般の健常成人10名にダーツの投げ矢を行わせた。標的とそれを取り囲む正方形(重力軸に対して傾きが0˚、15˚ 、30˚のいずれか)をプロジェクターにより投影した。各参加者は、ランダムな順序で投影された3つの傾き条件をそれぞれ40回、計120回試行した。パフォーマンスを解析した結果、0˚条件と比較して30˚条件では、矢の到達位置が有意に鉛直下側であった。また、0˚、15˚条件と比較して30˚条件では、投げ出し直後におけるダーツ重心の鉛直上向きの速度が有意に小さかった。このことは、標的周辺に配置された正方形が傾いた際、投動作のパフォーマンスに影響が及ぶ事を示唆している。本研究結果から、注視する標的からの視覚情報のみならず特に注意を向けていない周辺の視覚情報が、投動作のパフォーマンスを規定する一要因であることが示唆された。

著者関連情報
© 2016 一般社団法人 日本体育学会
前の記事 次の記事
feedback
Top