主催: 一般社団法人 日本体育学会
会議名: 日本体育学会第67回大会
開催地: 大阪体育大学
開催日: 2016/08/24 - 2016/08/26
p. 120_1
視野内に存在する正方形を視軸周りに傾けるに従い重力方向が傾いて知覚される現象は“Rod-and-frame effect”として知られている。本研究では、正方形の傾きが投動作のパフォーマンスに影響を及ぼすか否かを検証した。一般の健常成人10名にダーツの投げ矢を行わせた。標的とそれを取り囲む正方形(重力軸に対して傾きが0˚、15˚ 、30˚のいずれか)をプロジェクターにより投影した。各参加者は、ランダムな順序で投影された3つの傾き条件をそれぞれ40回、計120回試行した。パフォーマンスを解析した結果、0˚条件と比較して30˚条件では、矢の到達位置が有意に鉛直下側であった。また、0˚、15˚条件と比較して30˚条件では、投げ出し直後におけるダーツ重心の鉛直上向きの速度が有意に小さかった。このことは、標的周辺に配置された正方形が傾いた際、投動作のパフォーマンスに影響が及ぶ事を示唆している。本研究結果から、注視する標的からの視覚情報のみならず特に注意を向けていない周辺の視覚情報が、投動作のパフォーマンスを規定する一要因であることが示唆された。