日本体育学会大会予稿集
Online ISSN : 2424-1946
ISSN-L : 2424-1946
第67回(2016)
会議情報

キーノートレクチャー
フレイル・サルコペニア予防と運動・栄養
金 憲経
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 73

詳細
抄録

 体重減少、筋力の衰え、歩行速度低下、活動量減少、疲労の中で3つ以上に該当するフレイル、骨格筋量の減少に伴う筋力の衰え、または歩行機能の低下と定義されるサルコペニアは、要介護状態となる原因であると共に身体的障害、転倒、慢性疾病、死亡の危険性を上昇させる因子であり、その早期予防策の確立が課題といえる。これらを予防するためには、多様な危険因子の中で可変的要因を見出し、その改善に焦点を当てた包括的支援が有効である。その手法として運動が勧められ、高齢者でも筋肉量や筋力の増大が報告されている。効果的な予防には、運動の強度、頻度、期間が重要であり、先行研究では、週2回、VO2maxの40-45%、10分以下の運動では体力の維持・向上は難しいとの主張が優勢である。しかし、最近では低強度、低頻度でも効果が期待できるとの研究も散見されている。これらの背景を踏まえ、効果的な予防法について、疫学研究を踏まえて論議する。一方、高齢者の筋量上昇に栄養補充が有効であるとの研究も多く報告され、関心が高まっている。本講演では、フレイル・サルコペニア予防における運動・栄養の役割、効果を紹介し、今後の展望について論議する。

著者関連情報
© 2016 一般社団法人 日本体育学会
前の記事 次の記事
feedback
Top