日本体育学会大会予稿集
Online ISSN : 2424-1946
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第68回(2017)
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一般研究発表(13) アダプテッド・スポーツ科学
13ア−09−口−14 真正のインクルーシブ体育理念の検討
*梅澤 秋久村瀬 浩二中道 莉央
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p. 298_2

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抄録

 MINEPS V(2013)におけるインクルージョンの思想を請けUNESCO(2015)は「良質の体育(QPE)」のガイドラインを定めた。多様性を重んじるインクルージョン理念がQPEの中核であり、そのガイドラインは「体育・身体活動・スポーツに関する国際憲章」(UNESCO 2015)に踏襲されている。同憲章の範囲を学校に限定すればインクルーシブ体育の対象は全ての学習者であるが、とりわけ性差(LGBT含)、障害の有無、生育文化の違いを包摂すべきだと解釈できる。憲章による国際的な課題と日本の子どもたちの現状を鑑みると、インクルーシブ体育における以下の課題が浮き彫りになってくる。すなわち、①障害児と健常児の狭義のインクルーシブ体育、②中・高の男女共習の問題(LGBT含)、③外国とのつながりのある子どもとの共習、④運動する子としない子の格差を包摂する体育実践である。これらのダイバーシティを踏襲した真正のインクルーシブ体育が希求される中、多様な格差の中で互恵性を再構築できる資質・能力として、ケア思想の涵養とケアリング関係構築能力の育成が重要だと考えられる。

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