日本体育学会大会予稿集
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第68回(2017)
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(学習指導要領検討特別委員会)
ユネスコの良質の体育実現に向けた日本の貢献
–ボスニア・ヘルツェゴヴィナにおける保健体育科カリキュラム策定支援–
橋本 敬市
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p. 7_1

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抄録

 紛争終結後20余年を経たボスニア・ヘルツェゴヴィナでは現在もなお、紛争当事者だった3民族(ムスリム、セルビア人、クロアチア人)が民族別に異なるカリキュラムを使用し別々の教育を続けている。こうした教育の分断は紛争再発の原因にもなりかねないことから、ドナー社会は同国の教育統合を要請してきたが、同国内のセルビア人、クロアチア人は隣接する母国の制度に準拠したカリキュラム使用に固執し、国内統一カリキュラム導入に反対してきた。こうした状況下、国際協力機構(JICA)は約10年前、情報技術科(IT)の統合支援に成功。これが教育統合総体の触媒となり、一昨年から全教科で『共通コア・カリキュラム(CCC)』導入(3民族が最低限教育内容に含めるべき中核的課題(コア)を決めて基本カリキュラムを策定)プロセスが始まった。

 CCC導入決定を受け日本は「保健体育科(PE)」支援を決定した。これは①同国のPE教育がスポーツ・エリート養成に偏り運動が苦手な子がいじめの対象となってきた②同国が「スポーツを楽しみ、心身ともに健全な子供を育てる」という理念に関心を示したこと-等による。日本の経験・知見の共有が今、強く求められている。

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