主催: 一般社団法人 日本体育学会
会議名: 日本体育学会第69回大会
開催地: 徳島大学常三島キャンパス/あわぎんホール
開催日: 2018/08/24 - 2018/08/26
p. 137_3
これまでの先行研究において、T47クラスのパラリンピックスプリンター(PS)が疾走用義手を用いることのメリットは明らかとなっておらず、その効果はアスリートやコーチたちにとっての疑問である。そこで本研究の第1の目的はPSにおける義手の着用の有無がスプリント走におけるパフォーマンスと運動学的変数に及ぼす影響を明らかにすることとした。また、第2の目的は健常者スプリンター(ABS)における片腕振りの制限が上記の変数に及ぼす影響を明らかにすることとした。2名のPSは義手の着用条件と非着用条件、8名のABSは通常の腕振り条件と右腕固定条件で、屋内の40m走路での全力疾走を行った。その結果、PSにおける義手の着用と非着用条件間では走速度がほぼ変わらず、胸郭および骨盤の回旋動作に違いがみられた。また、ABSにおいて、右腕固定条件は、通常の腕振り条件と比較して、走速度が有意に低下し、時空間変数、胸郭と骨盤および下肢動作に違いがみられた。このことから、スプリント走における腕振り動作の重要性が示され、義手の着用は走動作における体幹部の回旋運動のバランスを取ることに効果がある可能性が示唆された。