日本体育学会大会予稿集
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第69回(2018)
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一般研究発表(09) 体育方法
09方-24-口-16 スポーツ指導者の実践能力の質向上を目指すコーチング・ラダーの構築
*北村 勝朗
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p. 199_1

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抄録

 選手の能力を最大限に伸長する実践能力を備えた指導者育成の構造化が危急の課題となっている。本研究の目的は、スポーツ指導者の実践能力に応じた指導力の段階を示す「実践知のはしご」としてのコーチング・ラダーを構築し、指導者自身が現在の臨床実践能力を確認しつつ次のレベルへの目標につなげていく支援システムを開発することにある。エキスパート選手及びエキスパート指導者を対象とし、深層的、半構造的インタビューによる発話データを分析対象とした。データ分析は、Côtéほか(1993)及び北村ほか(2005)による質的分析法に基づき、一つひとつの発話の内的構造を読み解き、構成概念を見出す形で行った。分析の結果、以下の点が明らかとなった。第1に、コーチング・ラダーは、「知る力」、「やり抜く力」、「見通す力」という実践能力の核となる3つの力によって構成される。第2に、経験年数とは異なる視点から指導者としての熟達に即した3つの段階が設定される。こうしたコーチング・ラダーという熟達段階で変化する実践能力の質向上を視野に入れつつ指導経験を蓄積していくことが、指導者としての熟達を再考する際に重要である点が示唆された。

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