日本体育学会大会予稿集
Online ISSN : 2424-1946
ISSN-L : 2424-1946
第69回(2018)
会議情報

シンポジウム
教材論からみたスポーツ人類学研究の可能性
岡出 美則
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 54_2

詳細
抄録

 教科内容、教材、教具並びに素材の区別とそれらの関係論の展開は、学習成果が得られない原因を学習者の個人的要因に求めるのではなく、教科内容や教具、教材に求める道を開いてきた。

 他方で、体育の教材と言えば、運動学習の教材に目が向けられがちである。しかし、体育は運動、情意、認識並びに社会という4つの学習領域を併せ持つ教科であり、このいずれにも教科内容が存在している。特に文化理解という観点からみた場合、心性の理解やそれを機能させるメカニズムの理解が重要になる。そのため運動学習のみならず、社会学習や認識学習に関わっても、教科内容が抽出され、教材が作り出されていく必要がある。この点で重要な理論が、教科内容の組み替え論である。教材づくりの過程では、学習者を介して、設定されている教科内容の妥当性が批判的に吟味され、教科内容や教材の組み替えが展開されることになる。他方で、教材づくりに関しては、素材から教科内容を抽出していくルートと教科内容から教材を構築していくルートが存在する。

 スポーツ人類学の知見は、このような観点からみた場合、素材の提供源と教科内容の提供源という二つの顔を持つことになる。

著者関連情報
© 2018 一般社団法人 日本体育学会
前の記事 次の記事
feedback
Top