主催: 一般社団法人 日本体育学会
会議名: 日本体育学会第69回大会
開催地: 徳島大学常三島キャンパス/あわぎんホール
開催日: 2018/08/24 - 2018/08/26
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サッカーの状況判断研究では、状況判断の良否が知覚・意思決定スキルに起因することが示されている。しかし、これらが対象とする意識的な処理過程だけではスポーツ場面の情報処理を十分に説明できない。そこで、本研究では閾下知覚が後続する情報処理に影響するか、熟練者間の競技レベルの差異に関与するかを調査した。参加者は大学サッカー選手30名(競技レベル高・中・低群)とした。実験課題では、攻撃場面(3対3)の画像(先行刺激)を逆向マスキング法で呈示した後、再度3対3場面(後続刺激)を呈示した(先行刺激と一致画像・不一致画像の2条件)。参加者には後続刺激が右・中・左サイドのいずれかの選手がフリーな画像又は全選手がマークされている画像の4種類から選択反応させた。先行刺激は17、34、85msとした。結果として、後続刺激への一致・不一致条件の反応時間の差分が、中群では85ms条件のみ、高群では34msと85ms条件で増加した。先の実験より34msの情報は意識的な認識が困難であることから、熟練選手の中でも競技レベルの高い者ほど閾下で知覚した情報が後続する情報処理に影響する可能性が示唆された。