主催: 一般社団法人 日本体育学会
会議名: 日本体育学会第70回大会
開催地: 慶應義塾大学日吉キャンパス
開催日: 2019/09/10 - 2019/09/12
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バレエの鉛直軸周りの回転動作では、上体の大きな角運動量を生成するために、回転数に応じてその両支持期の各関節トルク発揮が増加する。従来の研究では、各関節トルクによる上体の角運動量生成への影響は不明のままである。そこで本研究の目的は、上体の角運動量生成に対する全身の関節トルクの動力学的な貢献を明らかにすることである。バレエダンサーによる1から6回転までの右回りの片脚支持回転動作データから、逆動力学演算により各関節トルクを算出した。そして15剛体リンクでモデル化した全身の運動方程式を利用し、上体の重心周りの角運動量に対する関節トルク項・運動依存項・重力項の貢献を算出した。その結果、上体の右回りの角運動量生成には上胴仮想関節の右回旋トルクの貢献が最も大きく、かつ回転数に応じて増加していた。後脚股関節屈伸トルクが左回りの角運動量を、支持脚股関節屈伸トルクは右回りの角運動量を生成し、これらは回転数に応じて増大した。これらのトルクは運動依存項による角運動量生成を累積的に増加させていた。これらの結果は先行研究で報告されていた、股関節屈伸トルクによる骨盤への回転作用を支持するものであるといえる。