主催: 一般社団法人 日本体育学会
会議名: 日本体育学会第70回大会
開催地: 慶應義塾大学日吉キャンパス
開催日: 2019/09/10 - 2019/09/12
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ステップする際、足が離地するまでの間に行われる姿勢制御は予測的姿勢制御(APA)と呼ばれ、ステップ長・方向・速さといった課題の要求に応じて適切な制御が行われることが知られている。しかしながら、ステップ課題において求められる正確性が、APAにどのような影響を与えるかは明らかになっていない。本研究では、健常男性を対象に、自発タイミングで、前方に設置した台(高さ4 cm×幅120 cm×奥行き4条件(2、4、6、8 cm))の上にステップする課題を用いた実験を行った。被験者には右足を先行脚とし、“ステップ後最低1 秒以上、台上に留まる”ように教示した。台の奥行きが8 cm時(1513±197 ms)に比べ、2cm時(1687±197 ms)に長い時間を要した。また、台の奥行サイズが小さい条件(2 cm)では、大きい条件(8 cm)と比較して、先行脚が離地したタイミングで前方向の重心位置および速度の標準偏差は小さい値を示した(重心位置:6.0±2.4 mm vs. 8.0±2.7 mm; 重心速度:22±6 mm/s vs. 32±20 mm/s)。この結果は、ステップにおける重心状態の正確性の要求を満たすために、APAの段階で、重心位置および速度の正確性が適切に制御されていることを示している。