主催: 一般社団法人 日本体育学会
会議名: 日本体育学会第70回大会
開催地: 慶應義塾大学日吉キャンパス
開催日: 2019/09/10 - 2019/09/12
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2019年3月に、日本の大学スポーツの統括組織としてUNIVASが発足した。これからUNIVASの統括のもと、各大学には学生アスリートに対する教育の充実や、大学スポーツの意義を社会に示していくことが求められる。しかし、現実には「学業と競技活動の両立」や「キャリア支援」をはじめ、解決すべき課題は山積している。
こうした政策的動向の中で、今後の重要な論点となるのが「大学」における学生アスリートの位置づけである。すなわち、アカデミズムを体現する大学において、「スポーツに秀でた学生の養成」はいかなる意味を持つのだろうか。さらにいえば、大学はこうした学生の養成を通して、いかなる社会的役割を果たしているのだろうか。
そこで本研究が手がかりとするのが、能力に基づく社会的地位の選抜・配分を表す「メリトクラシー」という概念である。本研究では、アスリートとしての競技実績を評価して選抜する「スポーツ推薦入学試験制度」に焦点を当て、その制度の拡大と帰結を「メリトクラシー」の視点から分析する。これによって、日本の大学スポーツをめぐる「スポーツメリトクラシー」の実態を詳細に明らかにしていく。