日本体育学会大会予稿集
Online ISSN : 2424-1946
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第70回(2019)
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シンポジウム
「多様な身体」からスポーツを展望する
荒牧 亜衣松宮 智生
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p. 31_1

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抄録

 科学技術の進歩は、スポーツする身体の多様化を牽引してきた。身体に合わせたスポーツも数多く産み出されてきたし、スポーツをするための道具も進化を続けている。加えて、近年、スポーツする主体の「多様な身体」を浮き彫りにしてきたことも事実である。例えば、キャスター・セメンヤの陸上競技800m女子種目への参加資格問題(以下「セメンヤ問題」と略す)やマルクス・レームをめぐる義足の取り扱いに関する議論のように、競技スポーツの原則とされてきた性別二元制やルールそのものの限界を示す事例が挙げられる。スポーツにおける「多様な身体」は、これからのスポーツをどこへ導いていくのだろうか。以上の問題意識に基づき、本シンポジウムでは、特に性別二元制を前提とした現在のスポーツ制度が抱える矛盾や問題点について検討する。性別二元制を基本とした競技規則に内在する課題を体育・スポーツ哲学の立場から整理し、解決に向けた道筋の提案を試みる。セメンヤ問題を起点に①身体の「らしさ」、②競技参加をめぐるルール、③スポーツにおけるジェンダーの3つの視点から、「多様な身体」の出現をスポーツの問題としてあらためて問い直してみたい。

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© 2019 一般社団法人 日本体育学会
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