日本体育・スポーツ・健康学会予稿集
Online ISSN : 2436-7257
第72回(2022)
セッションID: 32-1207-09-01
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体育社会学 口頭発表
アフターオリンピックにおけるスケートボード
卓越と対抗の狭間で
*鳥巣 明亜
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抄録

第32回オリンピック・パラリンピック大会では夏季オリンピック史上初のスケートボード競技が行われ、日本代表は男女ともにメダルを獲得し、世間の注目を集めた。スケートボードはこの20年で大きく変化している。グローバルな視点で見ると五輪種目になるために組織化、競技化という変化を経験してきていると言える。他方、日本国内の動きとしては、2004年に新横浜で公共のスケートパークができるなど、パークスポーツへと形を変えて(施設化)、公共化を目指す動きが生じている本来ストリートカルチャーであるスケートボードは都市などの公共空間を自由に滑走することを特徴とするが、それ故に危険性や器物損壊などの懸念から迷惑行為と捉えられ、社会的に排除されてきた。次第に場所を失っていくことに危機感を覚えたスケートボーダーたちが、スケートパーク設置のための署名運動を行うなど公共性を獲得しようとする動きが確認されている。しかし、こうした動きが、自由奔放なストリートカルチャーの概念に対して矛盾を生んでいることが考えられる。また、オリンピックスポーツになったことでより競技性を増し、卓越を目指す、組織的なエリートスポーツになる可能性が垣間見える。日本でのスケートボード研究は、公共空間の獲得をめぐる動きについてのものが散見されるが、上記のような文脈において、日本におけるスケートボードが被った変化を捉えた研究は未だない。そこで本研究では、ポスト東京2020におけるスケートボードの実践者を対象とし、オルタナティブなスポーツとしてのあり方とエリートスポーツとの相克を関係者たちがどのように経験しているのかについて、探索的に解明することを目的とする。

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© 2022 一般社団法人日本体育・スポーツ・健康学会
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