日本体育・スポーツ・健康学会予稿集
Online ISSN : 2436-7257
第72回(2022)
セッションID: 3Gym135-38-04
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運動生理学 ポスター発表
栃木県女性アスリートのヘモグロビン正常者におけるフェリチン低値者の割合
女性アスリートサポート事業における過去3年間のデータから
*亀岡 舞池田 達昭
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抄録

(目的)栃木県の女性アスリートにおける鉄欠乏性貧血の前段階であるIron Depletion without Anemia(IDNA)の頻度を明らかにすること。また、血中貧血検査項目における競技種目別の特性を明らかにすること。(方法)栃木県の女性アスリート全29競技、419人(年齢:18.6±6.4歳、BMI:22.1±3.4)に対し血液検査を行った。血中貧血検査項目のうちヘモグロビン濃度、血清フェリチン値を評価項目とした。 IDNA頻度の算出には、IOC(2013.)の評価基準値を用いて、フェリチン<12ng/mL、<20ng/mL、<35ng/mLを下限値とし、ヘモグロビン>12g/dLに該当する人数で除して算出した。競技種目は、格闘技系・球技系・記録系・採点系・標的系・水辺系・ラケット系の7競技に分類し、競技種目間での血中貧血検査項目の特性を調べた。統計解析にはアドインソフトStatcel4を用い、群間差の検出のために分散分析、多重比較検定(Tukey-Kramer法)を行った。(結果)栃木県の女性アスリート419人のIDNAの頻度はそれぞれ、フェリチン<12ng/mLが13%、フェリチン<20ng/mLが31%、フェリチン<35ng/mLが62%であった。競技種目間で見ると、格闘技系と比較して球技系は有意にフェリチンの値が低いことが示された(p<0.01)。(結論)ヘモグロビン値が正常でありながらフェリチンが減少した状態(フェリチン<35ng/mL)の割合は62%であり、約半数の栃木県の女性アスリートがフェリチンの値が低値状態であることが分かった。さらにフェリチン値は競技種目間での差もあることから、IDNAを防ぐために競技種目別でのアプローチも合わせて検討していく必要がある可能性が示唆された。

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© 2022 一般社団法人日本体育・スポーツ・健康学会
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