日本静脈経腸栄養学会雑誌
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臨床経験
食道がん患者に対する化学放射線療法時の栄養管理の意義
松本 英男遠藤 陽子大隅 麻絵本多 唯二宮 洋子高杉 栄子水畑 忍作田 建夫寺本 房子平井 敏弘
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2015 年 30 巻 4 号 p. 980-982

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抄録
【目的】食道がん患者に対する化学放射線療法時(以下、CRTと略)の栄養管理の有用性を検証する。【対象と方法】切除不能あるいは再発食道がんの53例に対してCRT 前にSGAを行い、B・CランクでNSTが栄養管理に参加した33例(NST群)と、SGAでAランクでありNSTが介入しなかった20例(非NST群)について、栄養状態の推移と治療の完遂率を比較した。【結果】CRT 終了時の摂取エネルギーは、非NST 群の20.7±6.5 kcal/kg/日に対してNST 群は33.0±7.1 kcal/kg/日と有意に高く、タンパク質と脂質の摂取量がNST 群で有意に多かった。血清総蛋白値の減少率は有意差をもってNST群で少なかった(p=0.041)。治療効果、治療完遂率は両群間に有意差はなかった。【考察】低栄養状態の食道がん患者にCRT 開始前よりNSTが介入することで、栄養状態の維持、治療の完遂が可能となることが示唆された。
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© 2015 日本静脈経腸栄養学会
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