日本静脈経腸栄養学会雑誌
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特集
低栄養とリハビリテーション栄養管理の考え方
-特にエネルギー必要量に関して-
西岡 心大
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2016 年 31 巻 4 号 p. 944-948

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抄録

リハビリテーション (以下、リハと略) 病院・施設入院患者では40~ 50%に低栄養が認められ、リハアウトカムに悪影響を及ぼす。低栄養を認めるリハ対象者には国際生活機能分類 (以下、ICFと略) に基づきリハと栄養管理を同時に行うリハ栄養管理の考え方が有効だと考えられる。近年、欧州臨床栄養代謝学会および米国静脈経腸栄養学会により、低栄養は飢餓関連、慢性疾患関連、急性疾患/外傷関連の3タイプに整理され、栄養摂取不足のみならず炎症反応が低栄養の進展に寄与していることが明確化された。低栄養を認める場合、これらの成因を評価することは介入戦略の決定や栄養状態の予後予測に役立つ。一方、リハ栄養管理においては低栄養を認める場合、エネルギー必要量には体細胞成分の回復を考慮したエネルギー蓄積量を付加する必要がある。今後、代謝栄養学を踏まえた栄養障害と生活機能障害との関連の検証や、栄養管理とリハを組み合わせる最適な方法論の確立が望まれる。

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© 2016 日本静脈経腸栄養学会
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