抄録
【症例】褥瘡治療のため入院となった100歳の女性に、経皮内視鏡的胃瘻造設術 (Percutaneous Endoscopic Gastrostomy; 以下、PEGと略) を Introducer変法で実施した。術後は順調に経管栄養を開始したが、PEG後8日目に嘔吐が出現した。腹部 CTで胃壁気腫および門脈ガス血症 (hepatic portal venous gas; 以下、HPVGと略) を指摘された。血液生化学検査では、肝障害や炎症反応を認めなかったことから、保存的に胃瘻からの減圧と経管栄養の中止にて経過観察としたところ、PEG後14日目の CTではガス像は消失していた。【考察】PEGの合併症としての HPVGは稀である。HPVGは予後不良な病態とされ厳重な管理が必要だが、腹膜炎や腸管壊死などを伴わない場合には、保存的に治癒が可能と考えられた。