日本静脈経腸栄養学会雑誌
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特集
がんと免疫栄養療法ならびにがん免疫と栄養療法
小川 了竹山 廣光
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2017 年 32 巻 1 号 p. 847-850

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抄録

栄養状態は術後合併症の発生に大きく関与し、手術予後を左右する重要な因子である。栄養不良の患者に対して、術前の中心静脈栄養による栄養管理を行うことで、術後の感染性合併症を減少させられることがわかってきたが、腸管粘膜の萎縮やそれに伴う腸管免疫能の低下といった問題もあり、経腸栄養を用いた栄養管理の有用性が明らかとなってきた。その中でも、n-3系脂肪酸、アルギニン、グルタミン、核酸等を含有した栄養剤を用いて、生体の免疫機能の増強、調節を目的とした経腸栄養法を免疫賦活栄養法といい、前述の免疫賦活栄養素を複合配合した経腸栄養剤を用いた臨床研究が欧米を中心に多く発表されている。本稿では、これまでに報告された免疫賦活栄養法の臨床研究のうち外科待機手術患者を中心とした報告と免疫賦活栄養素の効果・作用機序について概説する。

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© 2017 日本静脈経腸栄養学会
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