2017 年 32 巻 1 号 p. 851-857
【目的】本研究では施設に入居しているアルツハイマー病高齢者を対象に, 認知症重症度別の身体組成, 栄養状態を明らかにし, 適切な食事と食行動への介入方法を検討する基礎資料を得ることを目的に調査を行った. 【方法】施設入居高齢者のうち, アルツハイマー病と診断されている301名を調査対象とした. 調査項目は基本情報・認知症重症度・身体組成・低栄養判定・食品摂取多様性・食欲・日常生活動作とした. 【結果】身体組成および栄養状態に関連する評価指標について認知症重症度別に検討を行ったところ, 女性についてのみBody Mass Index, Skeletal Muscle Mass Index, Fat-free Mass Index, Mini Nutritional Assessment-Short Form,食品摂取多様性スコア, Council on Nutrition Appetite Questionnaireスコア, 下腿周囲径, 基礎代謝量について有意差が認められ, 認知症が重度の群で最も低値を示した. 【結論】アルツハイマー病高齢者において体格のみで身体状況を評価することには限界があり, 四肢骨格筋量, 除脂肪量, 下腿周囲径および基礎代謝量といった項目も含めて定期的に計測し, 早い段階から低栄養等の危険性を見つけ, 食欲の維持, 低栄養の予防といった介入を行う必要性が明らかとなった.