2017 年 32 巻 2 号 p. 1013-1016
大腿骨近位部骨折は高齢者の生命予後,機能予後に影響を与える.また高齢者の問題点として加齢に伴う生理的変化による栄養不良,筋肉量の低下(サルコペニア)が挙げられる.そこで当院で行われた75歳以上の大腿骨近位部骨折患者の術後歩行能力に影響する術前因子を調査した.検討対象は44症例で術後7日以内に平行棒内歩行3往復を達成できたか(早期評価),術後2~4ヶ月で歩行器歩行以上の歩行能力を再獲得できたか(中期評価)でそれぞれ2群に群別し,その要因について検討した.早期評価では栄養評価との関連を認めなかったが,中期評価ではBody mass index,下腿周囲長が低値であると目標を達成できない症例が多かった.大腿骨近位部骨折患者の栄養評価が,術後の機能予後予測に利用できるかもしれない.