日本静脈経腸栄養学会雑誌
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特集
回復期リハビリテーション病棟での漢方薬導入の補完療法としての意義
坂元 隆一
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2017 年 32 巻 2 号 p. 955-959

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抄録

リハビリテーション介入を行い順調にADLが改善している途上で、誤嚥性肺炎をはじめとする感染症再燃により急性期病棟に戻ることは稀ではない。このような患者の多くは経口摂取が不良となっており、リハビリテーションをゼロから再スタートしなくてはならない。当科では免疫力を高めて感染に対する抵抗力をつけてもらえるように、積極的に漢方薬を取り入れている。頻用処方は不眠、睡眠障害、安神剤としての抑肝散加陳皮半夏、開腹歴やイレウスの既往のある高齢者に対する大建中湯、便秘に対する麻子仁丸、栄養改善、食欲不振に対する六君子湯、補中益気湯、誤嚥性肺炎後症例に対する半夏厚朴湯、脳外科から転科転棟してきた患者の五苓散の継続であった。西洋薬の補完としての漢方薬、特に術後や長期臥床後の体力回復目的で補中益気湯、食思不振に対して六君子湯は有用である。これらの方剤を使って患者のリハビリテーションが順調に進むようにサポートしている。

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