日本静脈経腸栄養学会雑誌
Online ISSN : 2189-017x
Print ISSN : 2189-0161
原著
ステージⅣ進行再発大腸がん、乳がんに対する修正MCTケトン食による安全性と有効性の評価 (pilot study)
古川 健司重松 恭祐岩瀬 芳江三上 和歌子星 博子山本 淳子大塚 藍阿部 宏子
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キーワード: がん, 糖質制限, ケトン食
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2017 年 32 巻 3 号 p. 1154-1161

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抄録

【目的】がんは糖質の取り込みが多いことに注目し、糖質制限の厳しいケトン食を用いて、化学療法併用による臨床での安全性と効果を調べた。【方法】当院の倫理委員会の承認の元、ステージⅣの大腸がん、乳がん患者に対し、ケトン比1.5~1:1の修正MCTケトン食を3カ月摂取し、代謝、栄養状態、QOL、臨床効果を調べた。【結果】9名を対象に検討を行い、非糖尿病患者では、ケトン食によりケトーシスにはなったが、尿中排泄によりアシドーシスは軽度であった。-5.4%の体重の有意な減少を伴ったが、肝・腎機能は保たれ、抗がん剤併用でもQOLを下げず、奏効率67%、病態コントロール率78%で、がんの縮小は、血中総ケトン体値とQOLスコアに相関関係が示唆された。【結論】修正MCTケトン食は、抗がん剤併用でも、3カ月の短期間ではあるが、進行がん患者にも安全な食事療法であり、がんの縮小も血中ケトン体値とQOLスコアに相関が示唆された。

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© 2017 日本静脈経腸栄養学会
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