日本静脈経腸栄養学会雑誌
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原著
脳性麻痺児における至適投与熱量設定のための体格と安静時エネルギー消費量についての研究
西本 裕紀子惠谷 ゆり麻原 明美加嶋 倫子清水 義之曺 英樹位田 忍川原 央好
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2017 年 32 巻 3 号 p. 1162-1167

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抄録

【目的】脳性麻痺児の安静時エネルギー消費量 (以下、REEと略) と体格との関連について検討する。【対象及び方法】脳性麻痺児46例[中央値8 (1~17) 歳]のBMIと実測REE/kgの同年齢同性の基準値との比 (BMI基準値比、REE/kg基準値比) を後方視的に検討した。脳性麻痺児21例[中央値6 (2~17) 歳]において実投与熱量REE比と⊿身長Z-Score及び⊿体重Z-Scoreとの相関を検討した。【結果】加齢とともにBMI基準値比は低下し、BMI基準値比とREE/kg基準値比は負の相関を示した。投与熱量REE比と身長、体重のZ-Scoreの変化率に正の相関が認められ、身長と体重の⊿ Z-Score/月が0となる投与熱量REE比は相関式から1.18と1.08と算出された。【結論】脳性麻痺児は加齢とともに痩せが進行し、痩せた児のREE (kcal/kg) は基準値より高かった。脳性麻痺児の身長と体重のZ-Scoreを維持するためにREEの約1.1~1.2倍の熱量投与で栄養管理を開始することが適切と考えられた。

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© 2017 日本静脈経腸栄養学会
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