2017 年 32 巻 3 号 p. 1207-1210
【目的】脂肪吸収障害が顕著な短腸症候群患児の2例で、経口用ω3系油脂高含有製剤の効果を検討した。【方法】残存小腸27cmおよび18cmで、現在も経静脈栄養投与併用中の短腸症候群症例に対して、経口用ω3系油脂高含有製剤投与後の便中脂肪染色、血清脂肪酸分画の変化を検討した。【結果】脂肪乳剤を0.2~0.3g/kg/dayの経口・経腸投与開始後も、便中脂肪染色は陰性であった。血清脂肪酸分析では、投与前はω3脂肪酸分画は低値であったが、投与後2週間で改善した。【考察】以前のω3系脂肪酸含有経腸栄養剤投与での検討では、血清脂肪酸分析が改善するためにはω3系脂肪酸投与量として0.4~0.5g/kg/day以上の投与が1ヶ月以上必要であった。今回使用した経口用ω3系油脂高含有製剤は、経口・経腸投与でも吸収効率の高い製剤であり、遠位小腸がほとんど残存していない短腸症例においても有用であった。