日本静脈経腸栄養学会雑誌
Online ISSN : 2189-017x
Print ISSN : 2189-0161
総説
炎症性腸疾患のエネルギー代謝
髙岡 あずさ佐々木 雅也井上 真衣馬場 重樹安藤 朗
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 32 巻 4 号 p. 1320-1323

詳細
抄録

クローン病と潰瘍性大腸炎は炎症性腸疾患と称され、高率に栄養不良を認める。これにはエネルギー代謝の変化も関与しているが、十分な検討はなされておらず、一定の見解は得られていない。我々が入院時に間接熱量測定を施行した成績では、両疾患ともに健常人より安静時エネルギー消費量(REE)が有意に高かったが、両疾患に有意差はなかった。一方、疾患活動性との相関は潰瘍性大腸炎にのみ認められた。これは近年の欧米からの報告を支持する結果である。また、潰瘍性大腸炎における寛解導入前後のエネルギー代謝の変化をみると、REEは有意に低下し、呼吸商は上昇した。エネルギー代謝が変化する要因として、炎症性サイトカインとの関連について検討したところ、両疾患ともにREEとIL-6の間に正の相関が認められたが、TNF-αとの関係性は認めなかった。炎症性腸疾患では、このようなエネルギー代謝の変化に応じた栄養療法が重要である。

著者関連情報
© 2017 日本静脈経腸栄養学会
次の記事
feedback
Top