日本静脈経腸栄養学会雑誌
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特集
脂肪乳剤の種類と現状
瀧藤 克也
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キーワード: 脂肪乳剤, 脂肪酸, レシチン
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2018 年 33 巻 2 号 p. 726-730

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抄録

静注用脂肪乳剤は、水に溶けない中性脂肪をリン脂質でエマルション(脂肪乳剤粒子)として静脈内投与できるようにしたもので、1961年にWretlindが大豆油をレシチンで乳化して臨床使用したのが始まりで、50年以上経過した現在でも使用されている。しかしながら、脂肪乳剤そのものの安定性、脂肪乳剤中に多く含まれるn-6系多価不飽和脂肪酸であるリノール酸による炎症促進作用、長期間使用することによる肝機能障害などが指摘され、含有する中性脂肪を従来の大豆油から、ココナッツ油に含まれる中鎖脂肪酸を含有した製剤、n-3系多価不飽和脂肪酸を多く含む魚油に変更した製剤、オリーブ油に多く含まれる1価不飽和脂肪酸を主体としたもの、さらには中性脂肪に含まれる脂肪酸を理想的な割合になるようにこれらの油をバランス良く配合した製剤など、開発当初に比べて改良された脂肪乳剤が現在利用可能となっている。

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