2018 年 33 巻 3 号 p. 892-895
43歳,女性.神経性やせ症で他院に通院中,摂食不良・体重減少が進行したため入院となった.refeeding症候群に留意し,少量から経腸栄養を開始した.経口摂取に切り替え後,腹部膨満感の訴えあり,腹部画像所見で多量の残渣を含んだ著明な胃および腸管拡張と腸管ガスの貯留を認めた.入院後徐々に下剤への強い依存がみられ,入院前から大量の下剤を服用していたことが判明し,下剤乱用による腸管機能低下が疑われた.下部消化管内視鏡では,病理所見で大腸メラノーシス(大腸黒皮症)を認め,下剤乱用症候群に合致すると考えられた.本人の嗜好にも配慮しながら,腸内環境改善を考慮した栄養剤を調整し,濃厚流動食を中心として栄養量の確保を行った.また,下剤依存からの離脱を目指した精神科的アプローチに加えて,排便トレーニングの指導を行った.多職種の介入によって,退院時には栄養状態の改善とともに下剤の使用を減らすことができた.