日本静脈経腸栄養学会雑誌
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臨床経験
胃瘻造設後に経口摂取が回復、経管栄養を離脱した超高齢症例
田中 美波本多 葵中村 真知子平野 憲二曽野 弘士貝田 英二前田 滋
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2018 年 33 巻 3 号 p. 888-891

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抄録

【症例】①90歳男性、下腿熱傷:認知症により喫食量が不安定であり、デブリードマンを実施したが低栄養のため植皮術は保留となった。胃瘻で経管栄養を開始した後、身体拘束を減らした事で経口摂取量は安定した。栄養状態も改善し植皮術が行われた。②95歳男性、慢性閉塞性肺疾患増悪:嚥下障害のため経口摂取が困難であり胃瘻を造設した。リハビリテーションとの協働により喫食量も次第に増え経管栄養は終了、歩行器での歩行も可能となった。③91歳女性、脳梗塞:意識障害のため、総必要エネルギー量の4割しか摂取できない状態が続いた。胃瘻の造設後、ラウンジでの食事を試みたところ喫食量は増加、軽快退院した。【考察】90歳以上の超高齢症例において、胃瘻造設後に経管栄養を離脱し経口摂取を再開できた症例を経験した。胃瘻造設後も、ADLの維持・向上を目指した早期離床やストレスなく過ごせる環境の整備、生活リズムの調整が重要である。

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© 2018 日本静脈経腸栄養学会
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