日本静脈経腸栄養学会雑誌
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配合変化や輸液汚染からみた医療安全
名德 倫明
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2019 年 34 巻 3 号 p. 159-165

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抄録

栄養輸液である脂肪乳剤と他剤との混合による粒子径の凝集変化を評価した。各種輸液への混合では、生理食塩液や2価の陽イオンを含む輸液で脂肪粒子径の変化が観察された。一方、側管投与の想定では、短時間での接触であり、粒子径の粗大化は招きにくいことが確認できた。脂肪乳剤と抗生物質製剤との側管からの同時投与を想定した評価では、脂肪乳剤の変化に影響を来す抗生物質製剤も多数見られた。また、フルルビプロフェンアキセチル注においても、配合薬剤によって粒子径の変化が観察された。次に、末梢静脈栄養(peripheral parenteral nutrition;以下、PPNと略)輸液の種類による微生物の増殖の違いや水溶性ビタミンの影響を検討した。各種菌の増殖には、水溶性ビタミンが関与していること、また、Staphylococcus aureus NBRC 12732株ではビタミンB1及びニコチン酸、Candida albicansではビオチンが菌の増殖に特に関与していた。薬剤師は、配合変化や中心静脈栄養(total parenteral nutrition;以下、TPNと略)輸液のみならずPPN輸液においても感染管理を理解し、医療安全に積極的に関与する必要がある。

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© 2019 日本静脈経腸栄養学会
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