2019 年 34 巻 3 号 p. 173-178
日本は世界の中で高齢化社会先進国であるが、健康寿命は平均寿命に比べ10年短い。これは高齢者のフレイル化が関係しており、食べることにも密接につながっている。高齢者は食べることを一番の楽しみとしている人も多いが、一旦病気や治療などの様々な要因が加わると、途端に全身や栄養摂取に関する機能が著しく低下する。いわゆるフレイル化の進行であり、人生の最期まで食を楽しむためには、早期の対策が必要である。経口摂取に関する医療安全対策は、急性期病院と慢性期病院における経口摂取の位置付けが異なるため、その施設や機能に合った対策を検討することが必要である。また医療者は経口摂取に関する倫理的な視点を持ち、患者や家族とともに多くの職種で最良の方法を検討していくことが求められている。