体力科学
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運動中の心電図と呼吸運動の短波無線同時搬送法について
岡 芳包宇都山 登野田 幸作
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1961 年 10 巻 1 号 p. 75-80

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抄録

さきに運動中の心電図無線搬送用可搬型短波無線送信装置並びに受信記録装置について報告した3) が, 更に運動中の呼吸運動を同時搬送記録するために, 心電図と呼吸導動の短波無線同時搬送装置を製作した。この装置では, 心電図を搬送記録するには先に報告した装置と同様750c/sの副搬送波を, 被検者から誘導した心電流で周波数変調し, 呼吸運動の搬送記録には, 被検者からマスク方式によつて得た呼吸気流の変化を電気抵抗の変化に変え, これで150c/sの副搬送波を呼吸波によつて周波数変調している。更にこの2つの心電図及び呼吸波の副搬送波を適当に混合し, 増幅して7Mc/sの主搬送波を振幅変調して, 電波として輻射している。受信記録は受信アソテナから7Mc/sの主搬送波を受け, 受信機で検波し, 心電図と呼吸波の副搬送波をそれぞれ別々に, 互いに干渉し合わないようr周波数弁別し, 更に増幅してオツシログラフにて心電図と呼吸波として記録する。又この心電図と呼吸波の副搬送波を同時にテープレコーダーに録音し, 後に随時必要な部分だけの心電図と呼吸波に再生することができる。以上の装置を実際のスポーツに使用して, 高校陸上競技部選手による3000m長距離疾走中の心電図と呼吸運動を記録した。この方法はスポーツ医学のみならず, 人体生理学, 体力医学, 産業医学などの実験に広く応用されるべき新しい有力な実験方法と思われる。

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© 日本体力医学会
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