体力科学
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都会地中高年者体力現状の一断面について
小野 三嗣森下 芳郎山本 直道石井 令三山下 富士男
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1969 年 18 巻 3-4 号 p. 53-71

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抄録

都内及び近郊在往の20才から75才までの男子407名, 女子650名の体格, 運動能力のうち若干の項目について計測し, それを解析した結果, 大要次のような成績を得た。
1) 男子では加令にともない体前屈度が著明に減少し, 上体そらしの低下も認められるが, 握力の減少は少く, 垂直跳能力の低下も軽微, 全身反応時間の変動も顕著ではない。反復横とび能力には変化がなく, 1500m急歩の記録は高令者ほど良かった。肺活量, ジグザグドリブルは高年者ほど悪く, 血圧は20才代のものが比較的に高かった。
2) 女子では加令にともない上体そらしが著明に低下したが, 垂直跳能力, 1000m急歩の減少は軽微であった。体前屈, 握力指数, 全身反応時間では年令差がみられない。反復横とび, ジグザグドリブルは加令によって低下している。肺活量は変化せず, 血圧の加令増加は著明でない。
3) 男子の加令による体脂肪変化は腹部に顕著であり, その他の部位はそれほどでない。
4) 女子では加令によって腹部及び背部の皮脂厚が増加している。40才未満では上腕皮脂厚が背部皮脂厚より厚いが40才以上では背部皮脂厚の方が大きくなる。
5) 中年者では男女とも垂直跳能力と皮脂厚との間の相関は認められない。
6) 平均握力, 手頸囲, 皮下脂肪それぞれを大, 中, 小3群にわけ, それぞれの評価の組合せによって個人別体力特徴をあらわしてみると, 27組のすべてが実在したが, その頻度には特徴的変化がみられる。女性は男性に比較して頻度較差が少く, 40才以上群は40才未満群に対して頻度較差が少い。
7) ローレル指数と腹部皮脂厚との間には相関がない。

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