体力科学
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暴風雨下26km急歩の中年女子の身体に及ぼす影響について
小野 三嗣山田 茂
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1975 年 24 巻 1 号 p. 25-33

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抄録
37才から44才までの未鍛練健康婦人13名を, 夏の暴風雨中, 26km急歩を実施させた。26kmを4時間30分で歩きつづけることに成功した8名の婦人, 歩行開始後4時間, 20kmの地点に到達した後疲労のため歩行を中止した5名の婦人の体格, 体構成, 脈拍, 血圧, 血液, 尿所見の検査結果を平均的に比較検討した結果から, 概ねつぎのような知見を得た。
1) 心拍数に対する歩行の影響では両群間に差がなかったが, 早朝空腹時の平均収縮期血圧が131.5mmHgであった26km歩行群では歩行直後116.3mmHgまで低下していたが, 開始前の値が113.6mmHgであった20km歩行群では何の変化も観察されなかった。
2) 血中遊離脂肪酸の増加が特に顕著であったが, その程度は26km歩行群の方が著しかった。
血中遊離脂肪酸の消長は積極的運動努力の指標のように思われた。
3) トリグリセライドは運動時間が長くなるほど減少する傾向が強まるように思われた。運動の強度とはそれほど関係がないように考えられる。
4) コレステロールは8時間以内程度の運動では有意の影響を受けないように思われる。
5) 運動強度は26km群の方が大きく相応の負担がかかっていることは尿PHの変化からも示唆されたが, 有害なストレスという点では体力的に劣る20km群の方に強くあらわれたようである。
6) 20km群の方が血液濃縮を強く受けLDHの増加が著しく血糖の減少度が強い。
7) 中年婦人の健康的体脂肪沈着度は25~28%と考えたい。
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© 日本体力医学会
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