呼吸筋の酸素消費量, 肺抵抗, 換気量および酸素摂取量が, 自転車エルゴメータによる最大下運動中の男子鍛練者10名および男子非鍛練者10名で測定された。
肺抵抗は, 運動強度の増加にともなって大きくなったが, 鍛練者と非鍛練者との間に差はみられなかった。一方, 運動中の呼吸筋の酸素消費量は, 換気量が等しい場合, 物理的運動強度が等し い場合およびVo2maxの%で示した生理的運動強度が等しい場合のいずれにおいても, 鍛練者の方が非鍛練者よりも有意に少なかった。すなわち, 非鍛練者は鍛練者に比べて呼吸の機械的仕事に酸素がより多く使われ, 運動の効率が低下することが認められた。
本研究の結果から, 非鍛練者の全身持久性能力は, 鍛練者よりも呼吸筋の酸素消費量によってより大きく影響されるものと思われる。
稿を終わるに臨み, 本研究のために貴重な時間を割き, 献身的な協力を惜しまなかった被験者の諸兄に深謝の意を表します。
本稿の要旨は, 第52回日本生理学会人会 (1975) において発表された。