日本門脈圧亢進症学会雑誌
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臨床研究
部分脾動脈塞栓術(PSE)の治療成績
大森 薫浜辺 功一瀬川 誠寺井 崇二山﨑 隆弘為佐 卓夫岡 正朗坂井田 功
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2009 年 15 巻 3 号 p. 234-240

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抄録

門脈圧亢進症による脾腫・脾機能亢進症は,結果として汎血球減少を引き起こし,インターフェロン(interferon: IFN) 治療や肝細胞癌 (hepatocellular carcinoma: HCC) に対する化学療法を導入する際の障害となる.我々は2007年6月より, 門脈圧亢進症による脾機能亢進・汎血球減少に対して, PSE(partial splenic embolizatioin: PSE) を積極的に施行している.2007年6月~2008年8月までに施行した10症例について, その治療経験と成績について検討し, 脾臓摘出術の成績と比較した.PSE 1週間後の平均梗塞率は76.8%であり, 平均血小板数は6.5×104/μlからPSE 1カ月後に14.2×104/μlと有意に増加した.脾静脈血流量は10.68 ml/sからPSE後1週間で5.17 ml/sに有意に低下した.門脈血栓などの重篤な合併症は認められなかった.脾臓摘出術症例では,平均観察時期256日の時点で,平均血小板数は4.4×104/μlから18.9×104/μlに有意に増加した.IFNやHCC治療に先行する, 汎血球減少や門脈圧亢進症の治療に際して, PSEは脾臓摘出術とと同様に, 有用な治療であることが示唆された.

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© 2009 日本門脈圧亢進症学会
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