日本門脈圧亢進症学会雑誌
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臨床研究
胃静脈瘤出血に対する内視鏡的硬化療法(Histoacryl法)の手技と治療成績
成高 義彦島川 武五十畑 則之浅香 晋一今野 宗一村山 実山口 健太郎勝部 隆男塩澤 俊一吉松 和彦小川 健治
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2009 年 15 巻 3 号 p. 241-245

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抄録
筆者らは1990年より,胃静脈瘤出血に対して,硬化剤としてHistoacryl(N-butyl-2-cyanoacrylate)を用いたEISを行ってきた(Histoacryl法).本論文ではその手技や工夫点を紹介するとともに,緊急EISとしての治療成績を検討した.Histoacryl-Lipiodolの混合比は重合体の局所停滞性とX 線造影性のバランスからHistoacryl濃度は70%に設定した.14日以上の止血成功率は93.7%と良好であった.累積非出血率は3年 91%,5年 91%,10年 66%で,累積生存率は 3年 34%,5年 34%,10年 17%であった. 治療後の手術移行は2例(6.3%)でいずれもIPH症例で脾摘目的でHassab手術を追加した.治療後の死因は主に肝不全死,肝癌死で,出血関連死亡は2例(7.7%)であった.胃静脈瘤出血に対するEISの目的は出血死を回避することである.Histoacryl法は,十分にこの目的を達成できる有効な治療法と考えている.
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© 2009 日本門脈圧亢進症学会
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