日本門脈圧亢進症学会雑誌
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原著
肝硬変・肝細胞癌治療の補助的手段としての部分的脾動脈塞栓療法の有用性
森 哲清家 正隆山下 勉井上 恵針 里栄首藤 能弘高橋 祐幸本田 浩一吉松 博信
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2009 年 15 巻 4 号 p. 337-343

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抄録

慢性肝炎や肝硬変症で血小板減少例ではIFN療法が困難な場合がある.また進行肝細胞癌の化学療法では血球減少により治療継続が困難となり治療効果が期待できないことがある.そこで肝硬変症および肝細胞癌治療時の補助的手段としての部分的脾動脈塞栓療法(PSE)の有用性について検討した.対象はPSEを施行した61例(IFN例32例,RFA例14例,肝持続動注化学療法(肝動注)例17例).PSEにより血小板数は1年後も有意に上昇した.アルブミン値,コレステロール値も1年後に上昇しPSEにより肝機能が改善する可能性が示唆された.PSE後のIFN治療例におけるSVR率は36.4%,1b高ウイルス量では25%,重篤な合併症は脾膿瘍が1例認められた.血小板数が7×104/μl未満の進行肝細胞癌において肝動注を施行する場合,PSEを併用することで予後の改善が認められた.PSEは肝硬変および肝細胞癌,特に進行肝細胞癌治療の補助的手段として有用である.

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© 2009 日本門脈圧亢進症学会
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