日本門脈圧亢進症学会雑誌
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原著
マウス肝線維症モデルにおける脾臓摘出による肝線維化改善効果の検討
渡辺 基信村田 聡一郎アンドリー ミロノヴィッチ大河内 信弘
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2009 年 15 巻 4 号 p. 331-336

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抄録

慢性肝疾患の病勢進行による汎血球減少症に対する治療として脾臓摘出(以下脾摘と略す)が行われているが,肝機能および肝線維化に対する脾摘の効果は不明である.本研究では6週齢のC57BL6マウスに四塩化炭素(CCl4)を投与し肝線維化モデルを作成し,脾摘による肝再生促進効果・肝線維化抑制効果を検討した.[結果]脾摘群では非脾摘群に比べ,末梢血血小板数,肝体重比,肝組織のmitotic index, PCNA labeling indexが有意に増加していた.肝線維化面積比,肝組織中ヒドロキシプロリン量,肝組織中のTGF-β mRNA発現量は,脾摘群が非脾摘群より有意に低下していた.また脾摘群では非脾摘群に比べ肝組織における細胞増殖関連遺伝子の発現増強が認められた.以上のように脾臓摘出は線維化肝において有意な肝再生促進効果・肝線維化抑制効果を示した.その機序には脾臓摘出による血小板増加が強く関与していると推測された.

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© 2009 日本門脈圧亢進症学会
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